かつて人気の健康法「乾布摩擦」は本当に体に良いのか?
子供の頃、「体を甘やかすな」「鍛えれば体は強くなる」といわれ、真冬でも上半身裸で「乾布摩擦」をさせられた人もいるだろう。乾いた布1枚でどこでもいつでもできる手軽さから、世界中で行われる健康法で、日本では小学校や幼稚園などで奨励された。
最近は子供たちの裸になることへの心理的な抵抗などもあり見かけなくなったが「乾布摩擦は自律神経を鍛え、風邪になりにくい」といわれた。本当なのか。弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。
「乾布摩擦は『寒風摩擦』と誤記されることが多く、寒さに耐えて行うものと勘違いされていますが間違いです。乾布摩擦は肌を乾いたタオルなどで直接こすることで皮膚表面の血行を良くするだけでなく、その機械的な摩擦刺激を、皮膚の知覚受容体(触覚、痛覚、圧覚)が感知。その刺激が末梢神経から脊髄、視床を経て、大脳皮質の知覚中枢に伝達し、副交感神経を刺激します。それにより全身がリラックスして不眠、不安、抑うつを改善、疼痛緩和、免疫機能の高進が期待できるとされる民間療法です」
乾布摩擦を数日続けることで皮膚表面の温度が2度程度上昇するとの研究論文がある。