COPDの新たなメカニズム解明 新治療法の登場につながるか
患者にとって重要なポイントは、メカニズム解明によってQOLを改善させるような新しい治療が期待できること。この研究には治療ターゲットになりえる次の2つのポイントがある。
ポイント①…本来の無害な鉄は、「NCOA4」という積み荷を運ぶトランクのようなもので運ばれ、オートファジーという処理工場で有害な遊離鉄に分解される(図中(2))。このNCOA4の働きを抑えることで、有害な遊離鉄への分解を抑制し、結果、細胞膜の酸化反応やフェロトーシスを抑制する。
ポイント②…細胞膜を構成する脂質の酸化は「GPx4」というタンパクでも抑制できる。GPx4を強化することで、酸化を抑え、細胞死を回避できる。
「NCOA4やGPx4を標的とした治療は十分に可能だと思います。気道に特異的にアプローチしなくてはならないなど課題はありますが、遠くない将来、根本的治療法がなかったCOPDに対する治療薬が登場する可能性は高いです」
だからこそ、いま私たちが肝に銘じるべきは、COPDの早期発見。喫煙者や受動喫煙者は呼吸器内科でスパイロメトリーの検査を。
なお、息苦しさ、呼吸困難などの自覚症状が出てからでは、“早期発見”とは言えない。