人工肛門かそれ以外か…迷ったときに知っておきたいこと
「大腸がんの手術の一番の目的は、がんを的確に取り除き治すこと。がんの場所が問題になるので、直腸がんでは早期で見つかっても人工肛門になる可能性はあります」
■装着を回避する方法もある
肛門切除か、あるいは残せるか……。そのギリギリラインの場合、最近は、ISR(括約筋間直腸切除術)という手術が検討される場合もある。
排便に関わるのが肛門括約筋だ。便が直腸にある程度たまると、それが脳に伝わり便意を催す。すると肛門の内側の内肛門括約筋が無意識に緩み、外側の外肛門括約筋が意識的に緩み、便が出る。
従来の手術では、直腸とともに内肛門括約筋と外肛門括約筋を切除するので、人工肛門の造設が必要になる。しかしISRでは、直腸と内肛門括約筋を切除し、残った大腸と肛門をつなげる。外肛門括約筋は残るので、人工肛門をつけずに済む。
「ただ、現在の進化した人工肛門の装具と比べると、ISRで排便機能は残せたはいいが、QOLが下がったという人も少なくありません」