患者さんには「医療安全」に則したきめ細かな対応が必要
患者さんを守る「医療安全」や、「EBM」(Evidence Based Medicine=根拠に基づく医療)に沿ったガイドラインや標準治療について、患者さん自身が情報を入手できるようになったことで、医療者側はよりきめ細かな対応が求められています。何かトラブルが起こってしまったときに、患者さんやその家族がまるでクレーマーのように無理難題を突きつけてくるケースもあります。
もしも自分が患者さんや家族の立場だったら、同じような言葉を口にするかもしれないと思うところもあります。だからこそ、医療者側にはよりきめ細かな医療安全的な対応が必要になってきます。手術や治療を行う前に、起こりうるさまざまなケースを想定してリスクについて丁寧に説明を繰り返し、患者さんや家族に納得してもらえているかどうかが重要です。
仮にあんなトラブルやこんなトラブルが起こったとしたら、それはもう患者さんが日常生活で歩いているときに自分で転んでしまったレベル――そう言えるくらいきちんと納得してもらっておく必要があるのです。
仮に手術して患者さんが亡くなってしまったり、非常に重い後遺症を残すような状況になってしまった場合、家族や患者さん本人はそうそう納得はできません。ですから、医療者側は事前に予測されるリスクについて正直に包み隠さず話しておき、そうしたリスクがあることがわかっていて手術という契約を結ぶという手続きを取ります。その上で、もしも後遺症という新たな問題が起こってしまったら、そちらに対する治療が加えて必要になり、回復の遅延を招くのはそちらであることを理解していただかねばなりません。