体にやさしい新しいがん治療「光免疫療法」の仕組みと値段
従来の3大治療である手術、抗がん剤、放射線はがん以外の組織にもダメージが及び、副作用や後遺症がつきまとう。また、治療による免疫機能の低下という矛盾を残してしまう。それこそが従来、がんという病の宿命だった。
それが光免疫療法は「がんを壊しながら同時に免疫をつける一挙両得を狙った治療です」という。なぜ可能なのか。
「がんの細胞膜に1万個程度の傷をつけることで、『免疫原性細胞死』という特殊な壊れ方で、きれいに破れて壊れるので、その中身が新鮮な状態で外に放出されます。この中身が健康な免疫細胞に届き、活性化させる。照射により全てのがんが壊れなくとも免疫細胞ががんを抑え込むことがわかっています」
このときに免疫メモリーがつくため同じがんを二度と再発させないことも肝であり、それを実験で証明し、小林氏は多くの関連論文を発表している。
しかし、まだこの治療は進化の途上で、「これは終わりの始まり」だという。
昨年9月に「条件付き」で早期承認制度の適用が得られたのは、再発した頭頚部(扁平上皮がん)という「打つ手のなくなった患者」に限定される。国内では食道、胃がんの治験も進められているが、現時点での保険適用は頭頚部がんのみだ。