体にやさしい新しいがん治療「光免疫療法」の仕組みと値段

公開日: 更新日:

 従来の3大治療である手術、抗がん剤、放射線はがん以外の組織にもダメージが及び、副作用や後遺症がつきまとう。また、治療による免疫機能の低下という矛盾を残してしまう。それこそが従来、がんという病の宿命だった。

 それが光免疫療法は「がんを壊しながら同時に免疫をつける一挙両得を狙った治療です」という。なぜ可能なのか。

「がんの細胞膜に1万個程度の傷をつけることで、『免疫原性細胞死』という特殊な壊れ方で、きれいに破れて壊れるので、その中身が新鮮な状態で外に放出されます。この中身が健康な免疫細胞に届き、活性化させる。照射により全てのがんが壊れなくとも免疫細胞ががんを抑え込むことがわかっています」

 このときに免疫メモリーがつくため同じがんを二度と再発させないことも肝であり、それを実験で証明し、小林氏は多くの関連論文を発表している。

 しかし、まだこの治療は進化の途上で、「これは終わりの始まり」だという。

 昨年9月に「条件付き」で早期承認制度の適用が得られたのは、再発した頭頚部(扁平上皮がん)という「打つ手のなくなった患者」に限定される。国内では食道、胃がんの治験も進められているが、現時点での保険適用は頭頚部がんのみだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  1. 6
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  2. 7
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  3. 8
    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 9
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  5. 10
    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題