体重を減らすだけで糖尿病は「治る」のか? 臨床研究報告
糖尿病は治らない病気と言われてきました。たしかに糖尿病が完全に治ることは、難しいと言っていいと思います。ただ、「治る」という表現にも結構幅があるものです。
糖尿病の患者さんが、薬などの治療を中止しても正常と呼ばれる血糖値になり、それが継続されるという状態は、それほどまれではないことが最近分かってきました。この「ほぼ治った」と言っていい状態のことを、医学用語では「寛解」と呼んでいます。寛解は完全に治った状態とは違うので、油断して生活が乱れると、再び糖尿病になることがあります。そのため経過観察は必要なのですが、良い時の状態としては「治った」というのと同じなのです。
それでは、どうすれば糖尿病は寛解するのでしょうか? 体重が増えることで糖尿病を発症した人は、体重を元に戻すことで寛解する可能性が高いことが、専門家の間でも話題になっています。今年、学会で発表されたイギリスで進行中の臨床研究によると、肥満を伴う糖尿病の患者さんに、短期間の減量治療を行ったところ、なんと約3分の2の患者さんの糖尿病が寛解したのです。
これはまた別の研究ですが、適切に体重を落とすことにより、血糖を下げるインスリンというホルモンの反応も、正常になったという報告もあります。すべての糖尿病に当てはまる話ではありませんが、一部の糖尿病が寛解することは、科学的事実であるようです。