著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

「血小板」の検査数値とがんとの深い関係 米医学誌で報告

公開日: 更新日:

 がんは年齢とともに増える、高齢化社会ではありふれた病気です。しかし医療が進歩したとはいえ、がんの診断はショックなものです。がんは早期発見が治療のためには何より大切ですが、がん検診も一部のがんが見つかるというだけのもので、決して万能ではありません。

 それでは、すべてのがんで共通して異常の出るような、万能な検査はないのでしょうか?

 今年の米国医師会関連の医学誌に、カナダの興味深い研究が報告されています。健康診断で簡単に測定することができる「血小板」という数値があります。貧血などと同時に測定されるこの検査値は、血液を固めて傷を塞いだりする働きを持っている血小板の数を測定しているものです。

 実はがんが見つかる数年くらい前の時期から、この数値が上昇することが明らかとなったのです。

 血小板の数値が上昇していると、その後2年以内に診断されるすべての固形がん(塊を作るがん)のリスクが、約2.7倍高くなっていました。個別のがんで見ると、女性の卵巣がんは7倍以上、大腸がん胃がんも5倍以上そのリスクが増加していたのです。もちろん、血小板の数と関連のないがんもあるので、この検査も万能ではないのですが、簡単にできる血液検査がこれだけがんと関係が深いことは驚きです。健診結果の血小板が急に増えている時には、がんの存在を疑う必要がありそうです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    泉ピン子が終活をやめたワケ「渡る世間は(水原)一平ばかり!」スペシャルインタビュー

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在

  5. 5

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  1. 6

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  2. 7

    イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解

  3. 8

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  4. 9

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  5. 10

    公表された重点施策で露呈…JR東海の株価低迷と時代遅れの収益構造