パンダの心臓治療では人間と同じ処置が行われている
水分がたまることで生じるむくみを改善するために水分を体外に抜く処置も、タンタンと同じく人間の治療でも行われています。
おそらくタンタンは、心房細動が進んで心不全を起こしている状態なのだろうと推察されます。26歳という年齢は人間でいえば80歳近いといいます。人間でも、加齢は心房細動のリスク因子で、超高齢社会の日本では心房細動の患者さんが年々増えています。現在、日本の心房細動患者は80万人といわれ、2030年には100万人を突破するとみられているほどです。同じく心不全も、高齢化に伴う高血圧や虚血性心疾患、心臓弁膜症の増加によって急増しています。
大型の哺乳類であるパンダも、やはり人間と同じように高齢になると心臓疾患を発症するリスクが上がるということでしょう。ですから、治療も基本的には人間と同じ方法が行われ、薬は体重あたりの必要量を計算して投与されます。
当初、タンタンは2020年7月までに中国に返還される予定だったそうです。しかし、新型コロナウイルスの影響などで飼育期間が延長され、現在も治療が続けられているといいます。可能な限り良好な状態で帰国できることを願っています。