パンダの心臓治療では人間と同じ処置が行われている
2021年春、神戸市立王子動物園のジャイアントパンダ「タンタン」(26歳・メス)が心臓疾患疑いで治療を続けていることが公表されました。一時は観覧が中止されていましたが、現在は条件付きで再開されているとのことです。
報道によると、心電図などの精密検査の結果、加齢や心筋変性などが原因で心臓の収縮力が低下し、不整脈を起こしている可能性が高いと判明したそうです。そのため、血管拡張薬、強心薬、利尿薬を使って心臓にかかる負担を減らしながら、体内に水分がたまって生じたむくみを改善するため腹部から水分を体外に抜く措置も行われているといいます。
タンタンが該当するかどうかわかりませんが、パンダに限らず馬や牛などの大型の哺乳類は「心房細動」を発症するケースが少なくありません。中央競馬では年間平均で30頭前後の競走馬が心房細動を発症しているという報告もあります。
心房細動は、心臓が細かく不規則に収縮を繰り返し、規則正しい心房の収縮ができなくなる不整脈のひとつで、動悸や息切れなどの症状が表れます。それだけでは命に関わるような病気ではありませんが、心不全を合併して死亡の原因になるケースが多いことがわかっています。また、心臓内に血栓ができやすくなるため、脳梗塞を起こすリスクもアップします。