陽子線でがんを狙い撃つ(3)予後不良の進行肺がん、膵がんの救世主になるか
「肺がんは発見された段階で手術不可の進行がんが大半。薬物の進歩をもってしても予後が厳しい。そういった患者さんが陽子線で予後良好となるケースが少なくない」
進行がんで発見され治療法が限られているという意味では、食道がんや膵がんも該当する。膵がんでは温熱療法(体内のがん組織の温度を上昇させる)や高気圧酸素療法(がん内の低酸素状態を改善しがんの増殖を抑制する)との組み合わせで治療成績が上がることが期待されている。手術が可能でも術後QOLが著しく障害される場合は、陽子線が治療選択肢に入ることもある。
「頭頚部がんでは、浅側頭動脈からがんの栄養血管にカテーテルを挿入し抗がん剤を直接投与する動注療法と陽子線の併用で、100%近い制御率を目指しています」
「これこそ陽子線」というがんには、保険適用でなくても先進医療対象のものがいくつかある。陽子線治療の自己負担額は350万円。自由診療となると全額自己負担だが、先進医療対象であれば、民間のがん保険に入っている場合、先進医療特約でカバーできることを押さえておきたい。 (つづく)