野良ではないのに? 薬塗布済みの購入猫に耳ダニが発生したケース
ワンちゃんやネコちゃんが、耳をかゆがって脚でかくことがあります。多くはマラセチア菌などカビの仲間が寄生したもので、ネコちゃんでは保護されたケースがほとんどです。ところが、先日、初診の飼い主さんがブリーダーから購入した10カ月の愛猫を連れて来られました。
「別の病院でもらった外耳炎の薬を使ってもよくならなくて……」
この菌は湿気で増殖するのが特徴で、診察すると確かにそれらしき色や臭いでしたが、かゆがり方と耳道のただれが、異なるように思われたので外耳炎のときに耳ダニがいなかったか確認したところ、「いません」とのこと。それでも耳ダニを疑い、耳アカを顕微鏡で確認すると、案の定、とんでもない数の耳ダニが寄生していたのです。
耳ダニはヒゼンダニで、野外で活動する動物たちの生活環境に潜んでいます。ワンちゃんやネコちゃんがそういうところの土や草木に触れると、体表の皮や皮膚を食べながら成長しますが、ブリーダーが販売していたケースで耳ダニの寄生は少なくなりました。
では、今回のケースはなぜか。実はフィラリアを含む線虫や外部寄生虫を予防、駆除する薬の登場と関係しています。薬剤名はセラメクチンで、商品名は「レボリューション」「エビクト」など。犬にも猫にも使われます。