島崎俊郎さんが68歳で他界…インフルエンザ感染と心不全をつなぐ「点と線」

公開日: 更新日:

「オレたちひょうきん族」のアダモちゃんで人気を獲得し、最近は俳優としても活躍していた島崎俊郎さんの命を奪ったのは急性心不全だった。享年68。もうすぐ古希とはいえ、11月はそれまで通り元気に仕事をこなしていたが、今月6日に命を落とす前にはインフルエンザで自宅療養していたという。インフルエンザと心不全を結ぶ点と線とは……。

 ◇  ◇  ◇

「心臓はリズムを刻んで拍動しながら全身に血液を送り出しています。何らかの原因でそのポンプ機能が低下し、血液を十分に送り出せなくなった状態が心不全です。状態を表す医学用語で、個別の病名ではありません。心不全を起こす病気はいくつもあります」

 こう言うのは、東京都健康長寿医療センターの元副院長・桑島巌氏だ。島崎さんは急性心不全だったから、亡くなる直前に何らかのキッカケで突然心臓の動きが悪くなったと考えられる。これと対をなすのが慢性心不全で、だらだらと心臓の機能低下が続いたり、入退院を繰り返しながら少しずつ心臓の状態が悪化をたどる。

「急性も慢性も、心不全は血液循環の要である心臓の機能低下で、その後の経過がよくありません。中でも急性は、突然命を落としやすく、本人も周りもつらいので厄介です」

 国内で行われたJROAD2015研究における心不全患者の院内死亡率は約8%。別のATTEND研究で急性心不全の全死亡率を調べたところ、1年半ほどの観察期間中央値で男性は約18%、女性は約20%だった。一命をとりとめても状態悪化による再入院率は退院後1年で約35%に上る(JCARE-CARD研究)。

■55歳以上の男女3人に1人に心不全発症リスクが

 欧州のロッテルダム研究によると、55歳以上の心不全発症リスクは、男性は33%、女性は29%。男女とも3人に1人程度の発症リスクだけに、島崎さんの訃報は人ごとではないだろう。

 では、どんなことに注意すればいいか。桑島氏に聞いた。

 まずは、なんといっても心不全を起こす病気だろう。前述した通り心不全はさまざまな病気によって生じる末路だ。どんな病気が心臓にダメージを与えるのか。

「心不全の原因となる病気として多いのは、心筋が壊死する心筋梗塞、心肥大を起こしてポンプ機能を低下させる高血圧、心臓に4つある弁のどこかに異常を起こす心臓弁膜症が典型です。さらに心臓の筋肉が薄くなったり、厚くなったりして循環障害を起こす心筋症、不整脈などもあります。心筋梗塞から弁膜症を起こすケースや、不整脈によって心筋梗塞を招くケースなど複数の要因が重なっていることも珍しくありません」

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大「巨大不良債権化」という現実…阿部監督の“ちぐはぐ指令”に二軍首脳陣から大ヒンシュク

  2. 2

    ヘイトスピーチの見本市と化した参院選の異様…横行する排外主義にアムネスティが警鐘

  3. 3

    国民民主党「新人都議」に渦巻く“スピリチュアル疑惑”…またも露呈した候補者選定のユルユルぶり

  4. 4

    巨人・田中将大を復活させる「使い方」…先発ローテの6番目、若手と併用なんてもってのほか

  5. 5

    「時代に挑んだ男」加納典明(25)中学2年で初体験、行為を終えて感じたのは腹立ちと嫌悪だった

  1. 6

    高橋真麻がフジ港浩一前社長、大多亮元専務を擁護の赤っ恥…容姿端麗な女性集めた“港会”の実態知らず?

  2. 7

    参院選「自民裏金議員15人」で当確5人だけの衝撃情勢…比例は組織票があっても狭き門

  3. 8

    ドジャースが欲しがる投手・大谷翔平の「ケツ拭き要員」…リリーフ陣の負担量はメジャー最悪

  4. 9

    井上真央ようやくかなった松本潤への“結婚お断り”宣言 これまで否定できなかった苦しい胸中

  5. 10

    “お荷物”佐々木朗希のマイナー落ちはド軍にとっても“好都合”の理由とは?