筆跡カウンセラーが説く毎日10分の「文字トレ」…筆跡の乱れは心の乱れ、自律神経の鍛錬を
本番に弱い体育会系が弱点克服し全国大会へ
住所と名前で合計13字だ。わずかな文字数でいろいろなことが分かってちょっと面白い。これまでにどんな人を指導してきたのか。
「たとえば、はねは精神的な粘り強さの象徴で、それが弱いと、忘れっぽかったり、あきらめが早かったりして、社会人としてはあまりよくありません。『目』や『口』などの最後の横線が縦線に接することなく、開く人も、物事が抜け落ちやすいタイプです。あるレスリング部の高校生も、その2つがあり、県予選でそれなりの成果を残すものの、全国大会には進めませんでした。私の指導でメンタルを強化して集中力を身につけ、詰めの甘さを解消したところ、インターハイに出場できたのです。プロゴルファーやバイオリニストの方が集中力アップに来られたり、サラリーマンの方だとプレゼンなどでの上がり症克服に受けられたりします」
効果は、どれくらいの期間で表れるのか。「目」や「白」などの空白部分の等間隔が守られているかどうかで変わるという。
「等間隔がキープできている人なら、根本の精神的な安定が保たれた上で細かい乱れがあるため3カ月ほど、等間隔が守られていない人だと6カ月ほどで、文字トレの効果が表れます」
では、文字トレはどうやればいいか。
「とにかくお手本に倣ってゆっくりと丁寧に書くのが一番。集中することが大切です。最初は、万葉仮名で練習します。仮名には、漢字にはない曲線があり、曲線を書くときに呼吸を整えることで自律神経が整うのです。ぜひ毎日10分でよいので続けてください」
前述した筆跡診断のポイントが、あるとき問題なかったとしても、ストレスの蓄積によって自律神経が乱れてくると、不思議と文字も乱れてくるという。
「文字トレを毎日、続けることは、そういう悪い兆候を早めに潰して、すぐにリセットすることにもなるのです。その意味では、小林先生が続けている日記は素晴らしい。小林先生の場合は『3行日記』で、その日の『よいこと』『悪いこと』『あすの目標』を3行で記入するだけなので、それほど手間はかからないと思います」
石﨑氏のレクチャーでは、最初に宛名書きをしてから、次に「いろはにほへと」で始まる「いろは歌」を先生の手本を見ながら練習。それを踏まえて、もう一度、同じ宛名書きをした。すると、不思議なことに、最初より文字のバランスがよくなり、気分もスッキリした。なるほど、文字トレは続ける価値がありそうだ。