古文書保護の決め手はワサビで“消毒”? 大エジプト博物館・国際研究チームが効用を明らかに
日本の食文化には欠かせない「ワサビ」の意外な効用が明らかになり、注目を集めている。なんと古代エジプトの「死者の書」などのパピルスに記された古文書の保護に絶大な効果があるというのだ。
大エジプト博物館の女性研究員、ハナディ・サアダさんが率いる国際研究チームが明らかにした。
パピルスは、カヤツリグサ科のパピルス草(カミガヤツリ)の茎を砕いて作られたもので、微生物の真菌が大敵。パピルス本体と絵や文字を描いた顔料が真菌に侵食されるのだ。
研究チームは、真菌が付着したパピルスを吊るし、下から水とワサビを混ぜたものを加熱して、発生する蒸気にさらした。その結果、3日後には真菌は完全に除去され、さらに顔料などに物理的変化が全くなかった。
ワサビの蒸気に含まれる辛味成分が抗微生物作用を持つため、パピルス文書に付着した真菌の排除に効果的なのだという。
これまでの真菌消毒剤は真菌だけでなく、顔料も損傷させていたので、「ワサビ消毒法」は、パピルスの文化財保存に画期的な発見だそうだ。