財務省“不意打ち介入”で1ドル=157円台に急伸も…識者は「円安は止まらない」と効果に疑問符
ジェットコースターのような値動きだ。11日の外国為替市場の円相場は、予想を下回る米消費者物価指数(CPI)の発表後にドル売り円買いとなり、1ドル=161円台後半から157円台前半まで4円以上も円高方向へ急伸。その後12日の東京市場で1ドル=159円台まで円安に振れたかと思いきや、再び158円台となるなど1円以上も円高が進んだ。
例によって財務省は「為替介入については、有無も含めてコメントは控えるというのが基本的立場だ」(鈴木財務相)とダンマリだが、あまりに急激な円高に市場では「介入が行われた」との見方が根強い。
日銀は12日、週明け16日の当座預金残高について3兆1700億円が不足するとの見通しを公表。民間予測と大きなズレが生じることから、介入額は約3兆4000億~3兆6000億円の規模とみられている。
気になるのは、なぜ、このタイミングなのかだ。経済評論家の斎藤満氏がこう解説する。
「すぐに介入に使える外貨準備は約20兆円と見込まれており、GWの大型連休中の介入で約10兆円を使ったので、手元には半分が残っているとみられます。介入資金が底をつきそうだと市場に受け止められれば、円売りドル買いの材料になってしまう恐れがある。したがって、手元の“武器”を少しでも残しておくために、1回の介入で最大の効果を発揮したい。それゆえ、米CPIの発表によって生じた円買いの動きに便乗したのでしょう。発表直後の急速な円高進行を見るに、恐らく財務省はCPIの数字を事前に把握していたのではないか」