【駐在員が見たロシアの今】(下)ウクライナ侵攻は続け、猫の死に泣く…ロシア人のゆがんだ愛
隣国にミサイルを撃ち込んで赤子まで死んでいるのに何だ──。これがロシア人の動物愛に対する世界の反応なのかもしれない。ウクライナ人の犠牲に同情しているか否かは、人によって程度の差があるものの「親族・友人の有無」がひとつの基準になるだろう。宗教に裏打ちされた博愛はなく、100年前に死んだレーニンが残した共産主義も思想として弱まっている。
ウクライナは、自分たちの抹殺を狙っているとしか思えない侵略戦争に「ジェノサイド(大量虐殺)」と憤る一方で「エコサイド(環境の大量破壊)」も糾弾している。ロシアは昨年6月、ゼレンスキー政権側の反転攻勢を妨害しようとカホフカ水力発電所のダムを破壊したとされるほか、最近では占領地のロシア兵が野生動物の狩猟に興じている写真がSNSで広まり、怒りを買っている。
制裁を科す日本は「非友好国」に指定されて2国間関係は冷え込み、外交舞台でプーチンの秋田犬「ユメ」が姿を見せる機会もなくなった。動物好きという言葉は国民性を知る手掛かりにはならない。ウクライナ人のことをいまだに「とさか野郎」と蔑称で呼んでいるのだから。(おわり)