地元ファンの本音は「ち~ったぁ年寄ったバッテン、なんでんなかッ!」
ルーティンとは真逆の相撲符丁に「電車道」というのがある。立ち合いで当たって一直線に相手を土俵の外に吹っ飛ばす。今じゃ路面電車も廃止された町が多いのでピンとこないが、市街地の中心を通る直線道路は路面電車の軌道があった。一直線の「電車道」。まっすぐ進め、正々堂々。概して日本人の気質に合う。突撃ゃ~~~ッ!
ところが「電車道」は思わぬケガもする。雨の日に路面電車のレールにタイヤを乗せちまってスリップしたまま一直線に突き当たりの民家に突っ込んだという事故も珍しくなかったのだ。電車道で一気に勝負に出た琴桜もケガに弱かった。勝負が長引いては痛めた足腰に響くと、琴桜も琴風も「電車道」だった佐渡ケ嶽勢。
九州相撲ファンの本音。「琴奨菊は電車道たい。モンゴル勢はねこだましやら、相手に合わせて受けてから自分の体勢に持ち込む『後の先』やら、そげんシェカラシカ(こざかしい)手バ使うチからに、ち~った日本人をバカにしょっとじゃなかろか~チ思うちょったッタイ。故郷に錦バ飾るかしらん、モンゴルのウランバートルぁ遠かろ。これから日本人ドシコデン(いくらでも)売ランバーならんちゅて綱トルったい! 琴奨菊、ち~ったぁ年寄ったバッテン、なんでんなかッ!」
蒙古襲来へ、めったに吹かぬ神風が吹いた。電車道もいいが、柳川名物は舟遊び。ゆるりとケガせず土俵へ上がろう。