川島永嗣は36歳の今も「うまくなりたい」と思い続けている
とりわけ名古屋時代の3年間は、楢崎を超えるための挑戦の日々だった。
「ナラさんを超えない限りは試合に出られないし代表入りして海外に行く夢も果たせないと思っていた。ホントに<最大の関門>でした。GK論なんか一度も交わしたことはないし、いつも隣で一挙手一投足を見ていた。圧倒的に技術が高くて、『なんであんなプレーができるんだろう』と感心することばかりでした。当時のナラさんは27歳だったけど、僕は35歳になって、あの頃の彼に少し近づけたかなと思えるくらいですよ」と偉大な先輩に敬意を表する。その2人に追いつけ、追い越せという思いが川島の向上心をかき立てた。
ベルギー、スコットランド、フランスで足かけ9年間プレーした。
欧州5大リーグでレギュラーをつかんだ唯一の日本人GKとなった。
今季は一度も公式戦に出られない苦境を味わっているが、前進することをやめるつもりはない。
「16年夏に(フランスの)メスへ行った時には『こんなに高いモチベーションを持った33歳のGKを見たことがない』と驚かれました。日本にはカズ(三浦知良=横浜FC)さんを筆頭に年齢が高くても戦えている選手は何人もいますけど、欧州の場合は30代になると気力が低下するのも結構多いから。僕は36歳になった今も『うまくなりたい』と思い続けています」 (つづく)