日ハム輝星“直球8割でも抑えられる”を科学データで謎解き

公開日: 更新日:

 去る12日の広島戦でプロ初登板初勝利を挙げた日本ハム吉田輝星(18)。全84球中67球がストレートという極端な配球にもかかわらず、5回1失点の好投。広島の打者からはその直球に対し、「指にかかった球は見たことのない球」(鈴木)、「クセのあるカット気味の直球だった」(菊池涼)などの声が上がった。なぜ直球ばかりを投げても抑えられるのか。金足農時代の吉田の直球を実際にデータ解析した国学院大人間開発学部准教授の神事努氏(40)に、その謎解きをしてもらった。

■縦回転のバックスピン

 ――神事先生は2011年にスタートした秋田県の高校野球強化事業に当初からかかわっています。金足農時代の吉田輝星の投球を解析したのはいつですか?

「高校2年だった2017年11月です。翌18年1月に分析結果をフィードバックしました。特殊なカメラを用いて計測したところ、縦の変化量(ホップ成分)に大きな特徴があった。平均的な高校生と比べて、ボール3個分ほど高めに浮き上がる揚力(上向きに働く力)を持っていました」

 ――実際、どんな数字が出ましたか?

「球速は140キロ弱で回転数は約2100回転。さらに『ボール変化量』という指標で調べると、吉田投手は縦の変化量が53センチで、高校生の平均より約21センチ、プロと比べても9センチ多かった。また、横の変化量は10センチでシュート成分が非常に少ない。プロの平均は26センチです。吉田投手のボールは他の投手と比べてボール2個分ほど、シュート変化しないことになります」

 ――「ボール変化量」とは、回転数と回転軸の影響を受けて、ボールがどれだけ変化したかを数値化したものですね。

「回転軸の方向にも特徴がありました。一般的にストレートは、弾丸のようにらせん状に回転しますが、吉田選手は(リリース時に)手首が立ち、きれいな縦回転のバックスピンがかかっているため、地面と平行に近い感じで、フワッと浮き上がるようなボールになるのです」

 ――腕が縦振りですね。

「吉田投手は普段の練習時から、腕を上から振り下ろす動作をしています。腕が横振りにならず、投げ下ろすことによって、球がシュート回転しないようにするテクニックを持っているのです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした