広島戦では投げず 日ハム輝星“伝家の宝刀”は23日に解禁か
日本ハムが吉田輝星を評価した最大の理由はカッターというか、独特のスライダーにあった。
ストレートと同じ軌道の球が、右打者の手元でほんのわずか横滑りして外に逃げる。このボールを本人は、プロ入り当初、投げていなかった。
通常のスライダーと比べて曲がりが小さかったからだが、開幕後、コーチの勧めもあって練習を始め、意図的に投げ始めた。
プロ初先発初勝利を挙げた12日の広島戦。対戦した鈴木誠也は「きれいにくるかなと思ったら真っスラ気味にきて、そっちを意識するとスピンの利いた真っすぐがくる。あまり見たことがない真っすぐだった」と目を丸くした。
この鈴木の言う「真っスラ気味」の速球が独特のスライダー、カッターかと思ったら、そうじゃなかった。
「吉田は12日の広島戦で最大の武器であるスライダーを投げていないというのです」と、日本ハムOBがこう続ける。
「ファームで練習したスライダーは、軌道はストレートでも曲がりがもう少し大きい。5月8日、ロッテとの二軍戦で投げた球だと聞きました。球速は130キロ台中盤、打者の手元で確実に横滑りするといいます。12日の広島戦は何しろプロ初登板初先発。ストレートの質と制球が第一だっただけに、特殊なスライダーを投げる余裕がなかったのかもしれません」
“伝家の宝刀”を抜かずに強打の広島を封じたというのだが、2戦目となる23日の中日戦では、いよいよ“魔球”が見られるかもしれない。