アイルランドに勝利も選手沈着 ラグビーW杯狂騒の違和感
アイルランド司令塔は“代役”…先発は2度目
日本の大金星の要因はさまざまある。キックを封印した戦術の勝利でもあるし、相手の攻撃をことごとく止めたダブルタックルに象徴される選手のハードワークももちろんそうだ。「それに加えて」とスポーツジャーナリストの中山淳氏が言う。
「テレビ、新聞ではあまり報じられませんが、アイルランドのセクストン(34)が故障で欠場したこともやはり、日本には大きかった。セクストンは昨年の世界最優秀選手で世界最高のスタンドオフ(SO)のひとり。SOは攻撃の起点となり、パスかキックかなどプレーの選択を担う司令塔です。代わって先発したカーティー(27)は日本戦が代表2度目の先発とキャリアが浅く、戦前の情報と予想に反してキックを封印し、FW戦で挑んだ日本の戦い方に対応できなかった。アウェーの雰囲気にのまれているように感じました。もし、経験豊富なセクストンがゲームコントロールしていれば、逆にキックを多用してFW戦を避けるなど、別の戦い方で勝機を見いだそうとしたはずです」
日本代表の奮闘は称えられてしかるべきだが、チームの大黒柱である司令塔を欠いたアイルランドが世界2位の実力を存分に発揮し切れなかったこともまた事実だ。だがスポーツマスコミには、こうした冷静な視点が皆無と言っていい。