アイルランドに勝利も選手沈着 ラグビーW杯狂騒の違和感

公開日: 更新日:

 2015年の英国大会、南ア戦に続く歴史的大金星、まさにジャイアントキリングだと、テレビやスポーツ紙が大騒ぎしている。

 世界ランキング9位の日本代表が、同2位で優勝候補のアイルランドを19―12で破った28日のラグビーW杯1次リーグの結果を受けてだ。

 中継したNHKのアナウンサーが「もうこれは奇跡とは言わせない!」と絶叫すれば、民放も各地のパブリックビューイング(PV)やスポーツバーで観客が日の丸を振って騒ぎ立てる様子を放映。いまもバカ騒ぎは続いているが、そんな報道の数々に本当のラグビーファンはシラケている。

 勝利の数時間後、<アイルランド戦の感動を誰にも邪魔されたくないから、今日はスポーツニュースとか見ないよ>とツイートしたのはジャーナリストの神保哲生氏だ。

 神保氏は米コロンビア大学在学中、大学のラグビーチームに所属していて、ラグビーに造詣が深い。そんなファンからすれば、テレビのスポーツニュースはスゴい、スゴいと感動の押し売りをするだけ、感動は自分でするから邪魔だということだろう。

 スポーツジャーナリストの谷口源太郎氏は「この騒ぎ方は危険です」と、こう続ける。

東京五輪もそうですけど、そもそもラグビーW杯を日本に招致したのは国威発揚に利用するためです。日本はスポーツ貧困国で、人々は基本的に見ることにしか興味がありません。

 だから日の丸のかかった国際試合になると頑張れと必要以上に大騒ぎする。メディアは視聴率が欲しい、売れさえすればいいから、人々をたきつけ、結果としてナショナリズムをあおることになる」

 日本がグループ最強といわれるアイルランドに勝ったからといって、それで決勝トーナメント進出が決まったわけではない。実際、ランキング最上位の南アに勝った前回W杯では3チームが3勝1敗で並び、日本は勝ち点の差で8強入りを逃した。「2勝したからこそ気を引き締めたい。ここからが勝負で、まだ終わりではない」と逆転のトライを決めた福岡が話せば、主将のリーチマイケルは「30分くらい喜んで、次の試合に備えたい」と言った。

 実際にプレーする選手たちの方がよほど冷静だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 2

    阪神・西勇輝いよいよ崖っぷち…ベテランの矜持すら見せられず大炎上に藤川監督は強権発動

  3. 3

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  4. 4

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  5. 5

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  1. 6

    巨人・小林誠司に“再婚相手”見つかった? 阿部監督が思い描く「田中将大復活」への青写真

  2. 7

    早実初等部が慶応幼稚舎に太刀打ちできない「伝統」以外の決定的な差

  3. 8

    「夢の超特急」計画の裏で住民困惑…愛知県春日井市で田んぼ・池・井戸が突然枯れた!

  4. 9

    フジテレビを救うのは経歴ピカピカの社外取締役ではなく“営業の猛者”と呼ばれる女性プロパーか?

  5. 10

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された