当時日本ハムGMだった山田正雄氏が「この性格はプロでやる上でプラスになる」と確信した決定的瞬間
華々しい活躍で世界を沸かすドジャース大谷翔平(29)。
日刊ゲンダイが過去に連載した「秘話 大谷翔平『二刀流の血脈』」を、大谷の自信、気質、アタマの3点に焦点を当てて再編し、その軌跡を紐解いていく。(第3回からつづく)
◇ ◇ ◇
高校3年時のU18メンバーには藤浪、北條史也(元阪神)、田村龍弘(ロッテ)、森友哉(オリックス)らがいて、大阪出身者が中心だった。東北生まれの大谷はどんな反応を示すのか、そもそも輪に入っていけるのかどうか。同年秋のドラフトに向け、大谷の性格を確かめるべく、日本ハムの山田正雄スカウト顧問(当時GM)は試合会場のある韓国に飛んだ。
試合前のベンチ。練習の合間、大阪出身者が中心になって輪ができた。大阪弁が飛び交い、時折笑い声が聞こえる。ベンチから大谷が出てきた。横目でチラッと大阪弁の輪を見る。山田スカウト顧問が「そのまま通り過ぎるんだろうな……」と思った次の瞬間、すっという感じで自然に近づき、輪の中に入っていった。そして30秒もしないうちに輪の中心で身ぶり手ぶり、選手たちの笑いを誘っていた。「この子の性格はプロでやる上でプラスになる」と山田スカウト顧問は確信したという。