《長谷川勇也の巻》三冠王も認めた「鷹のソクラテス」でも…思い出すのは皆をヒヤヒヤさせた右翼守備
長谷川勇也
長谷川勇也(39)が置きティーバッティングを黙々と1時間以上やると、終わるのを待っていた中村晃が入れ替わりで同じくらい打つ。いずれも職人肌の選手で、「こいつら2人で何時間打つんや」と周囲の口をあんぐりさせたものです。
マジメで一心不乱に打撃を追求する長谷川は、マスコミから「哲学者」「鷹のソクラテス」などと呼ばれたこともあります。
大卒選手(専修大)でしたが、ケガが多かったので一軍出場は入団2年目の2008年。一軍に昇格したばかりの頃には、三冠王の松中信彦に、「こいつのスイング速いなあ。俺とあまり変わらないくらいかも。ヘッドスピードがめちゃくちゃ速い」と言わせたくらいです。
超一流の打者も認めたバッティング。ただ、申し訳ないのですが、僕は長谷川といえばどうしても右翼守備の姿を思い出してしまいます。
当時、二軍が使用していた雁の巣球場は、夕方になると空の色と混じってボールが見えにくくなる傾向があった。そこで右翼守備中の長谷川が2回ほどフライをポロリとやった。それも「よし、アウト!」と誰もが確信する中での落球。だから僕を含め、二軍戦では打球が右翼に飛ぶたびに「ライトは……長谷川か……」と、みんなヒヤヒヤしながら注視するのが当たり前となっていた(苦笑)。