週末に読みたいこの1冊
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「蜘蛛と蝶」大石圭著
実家住まいの歯科衛生士・多岐川瑠璃子は33歳。妹の亜紀菜が夫と別れて子連れで実家に戻ってきたのをきっかけに、そろそろ家を出なければと思い始める。母親からは結婚をせかされ、職場仲間の美和はインターネッ…
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「昭和史の10大事件」半藤一利・宮部みゆき著
昭和史研究家の半藤一利氏と歴史推理を得意とする宮部みゆき氏が「自分にとっての昭和史の大事件リスト」をアップし、それぞれの選出理由を語り合った対談本。戦後70年という節目を迎えた今、日本を変えた重大事…
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「XY」徳永圭著
物語の主人公は、手芸用専門商社で商品の仕入れをしている宗谷聡子33歳。会社の健康診断で右の卵巣の腫れを指摘され、精密検査で卵巣嚢腫が発覚した。 ショックを受けて帰る道すがら、聡子はふと駅のホ…
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「1行家計簿」天野伴著
昨今、家計簿アプリなども登場しスマホでもつけられるようになった家計簿。毎日の出費をすべて記録して、家計の無駄の発見と改善につなげるのが理想だが、記録のための記録に陥って無駄遣いを解消できないか、ある…
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「ものと人間の文化史172 酒」吉田元著
人間が「もの」との関わりを通じて築いてきた暮らしの足跡をたどりながら、文明の基礎を問い直す「ものと人間の文化史」シリーズ第172弾。酒がテーマの本書は、古代の酒の誕生から近世までの人と酒の関わりを、…
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「オオカミがいないと、なぜウサギが滅びるのか」山田健著
地球上の生き物は、もともと食物連鎖による三角形の生態系ピラミッド構造内に存在している。一番上に少数の肉食動物がいて、その下には雑食動物、さらにその下に植食動物、またその下には植物、そのさらに下にはす…
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「生還者」下村敦史著
ネパールとインドの国境地帯にまたがるカンチェンジュンガ山域で大きな雪崩が起き、日本人登山者7人のうち、4人の死体が発見された。増田直志の兄・謙一も、犠牲者のひとり。直志は信じられない思いで兄の葬儀に…
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「十字路が見える」北方謙三著
ハードボイルドの新星としてデビューして以降、男気あふれる作家として多くのファンを魅了し、時代小説の分野でも快進撃を続けてきたバイタリティーあふれる著者。本書は、そろそろ70歳の大台が射程に入ってきた…
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「北京メモリー」福井孝典著
主人公は、産読新聞北京特派員の伊江和夫。5年前から中国に赴任していた伊江だったが、ついに公安から「国家安全危害罪」や「国家政権転覆扇動罪」に抵触する恐れがあると呼び出しを受けた。あくまで記者活動の一…
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「砂の王宮」楡周平著
昭和22年4月、神戸・三宮の闇市で甘味料に化ける薬剤を売りさばいて大金を稼いでいた塙太吉は、進駐軍相手のブローカーをしていた深町信介と出会う。 戦後の混乱に乗じ、薬の安価販売で大儲けしようと…
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「作家で十年いきのびる方法」鯨統一郎著
主人公は、苦節17年でプロ作家となった伊留香総一郎。やっと作家になれたと安堵した直後、以前勤めていた会社の上司から「10年後も作家でいられるのか」と聞かれ、急に不安にかられる。まだ作家業は収入源には…
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「慰安婦問題をこれで終わらせる。」松竹伸幸著
右派と左派が対立したまま、韓国側からも強い主張が繰り返され、解決の道筋が全く見えない慰安婦問題。いまや外交上も安全保障上も日韓関係を揺るがすトゲのような存在となっている。この硬直した状況から抜け出し…
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「家族スクランブル」田丸雅智著
星新一の孫弟子と呼ばれる新世代のショートショート作家による、家族をテーマにした不思議な短編集。 特殊な空間を醸し出すランタンを披露する男の話「隣のランタン」、ある男が家電量販店に買い物に来た…
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「山怪 山人が語る不思議な話」田中康弘著
日本各地の山や狩猟の現場を歩き回るフリーカメラマンの著者は、山で暮らすマタギから何かしら共通項のある不可思議な体験談を聞いてきた。民話にも昔話にもなりきれない数々のエピソードは、冬になれば雪に閉ざさ…
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「にっぽんフクシマ原発劇場」八木澤高明著
児童労働、内戦、売春、エイズ、貧困などをテーマに、アジア諸国や国内を回ってきた著者が、前代未聞の原発事故現場となった福島に飛び込んで生々しい現実を写真と文章で切り取った衝撃のルポ。 帰還困難…
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「たとえ、世界に背いても」神谷一心著
物語は、ある奇病の治療法を発見した論文でノーベル医学・生理学賞を授与された浅井由希子博士による晩餐会のスピーチから始まる。 最初、病気の息子のためワクチン開発に全力で取り組んだことが語られ観…
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「長いお別れ」中島京子著
中学校の校長や図書館館長を勤め上げ、悠々自適の老後を送っていた東昇平(ひがししょうへい)は、ある日同窓会に行こうとして家を出たものの途中で目的を忘れ家に戻ってきた。 異変を感じた妻・曜子は、…
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「鬼忘島」江上剛著
ある日、ジャパン・イノベーション・バンク(JIB)の金庫番・国仲真一専務が失踪した。妻子と別れてひとり暮らしをしていたアパートの一室から、こつ然と姿を消したのだ。 同社の坂巻健史会長との不仲…
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「テノヒラ幕府株式会社」安藤祐介著
25歳にしてアルバイトで食いつなぐ立浪拓真は、2度目の就職活動中。採用試験を受けては落とされ、アパートのガスを止められるところまで追い詰められた。そんな拓真のもとに、スマートフォン向けのゲームを作る…
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「変わらないために変わり続ける」福岡伸一著
駆け出しの研究者だった25年前、一時雇われの身として滞在したロックフェラー大学。寝食を忘れて研究に没頭した思い出のキャンパスに、著者は2013年から2年間、客員教授として舞い戻った。何の変化もないか…