「家族スクランブル」田丸雅智著

公開日: 更新日:

 星新一の孫弟子と呼ばれる新世代のショートショート作家による、家族をテーマにした不思議な短編集。

 特殊な空間を醸し出すランタンを披露する男の話「隣のランタン」、ある男が家電量販店に買い物に来た奇想天外な理由を描いた「母の米」、子どもの歯並びの悪さを自分のせいだといって悩む父親の話「歯並び」、分身が作れるせっけんで3人になった妻と暮らす夫の話「白妻、黒妻」、妻がフリルの着いた洋服ばかりを買う理由を描いた「箪笥のこやし」、長年連れ添った妻を亡くした男が妻にそっくりの金魚と遭遇する「おいらんちゅう」など、計18編が収録されている。

 著者は、2011年に「桜」を「物語のルミナリエ」に発表してデビューし、12年に「海酒」で樹立社ショートショートコンテストの最優秀賞を受賞した気鋭の作家。「火花」で芥川賞を受賞した又吉直樹に絶賛され注目を浴びた。本作は単行本第4弾作品。デビュー以来、快進撃を続けている。(小学館 1300円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  2. 2

    小泉進次郎氏「コメ大臣」就任で露呈…妻・滝川クリステルの致命的な“同性ウケ”の悪さ

  3. 3

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  4. 4

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  5. 5

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  1. 6

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  2. 7

    関西の無名大学が快進撃! 10年で「定員390人→1400人超」と規模拡大のワケ

  3. 8

    相撲は横綱だけにあらず…次期大関はアラサー三役陣「霧・栄・若」か、若手有望株「青・桜」か?

  4. 9

    「進次郎構文」コメ担当大臣就任で早くも炸裂…農水省職員「君は改革派? 保守派?」と聞かれ困惑

  5. 10

    “虫の王国”夢洲の生態系を大阪万博が破壊した…蚊に似たユスリカ大量発生の理由