人生ナナメ読み文学講義
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個人的な恨みは仕事で社会的にリベンジせよ
夏目漱石と並び称される文豪にして陸軍軍医総監、文系、理系の対極的な2つの分野で頂点を極め、輝かしい足跡を残した森鷗外。日本文学界きってのエリート中のエリートだ。鷗外を読んでいるというだけで、(小難し…
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後世の目を意識すれば“目先の利害”の恥に目が覚める
高校教科書の定番作品「山月記」で知られる中島敦。中国の古典を題材とした小説は漢語が多く、一見とっつきにくいが、短編でテーマも明快、歯ごたえのある自分探しといった趣があり、読み始めたらついはまってしま…
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メディアをうのみにする「私たち」こそ「裸の王様」
「言葉」に対する鋭敏な感性で続々と刺激的な小説を世に問い、今日随一の実力派作家と目される金井美恵子。私の最も好きな現役作家だ。小説のみならずエッセーも評価が高く、13年という長期連載の人気シリーズ「目…
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先手を打って“自己批判”が防御となる
文学に興味はなくても、日本人なら題名くらい知っているという小説がある。太宰治の「人間失格」はそうした特権的な小説のひとつだろう。内容はフィクションだが、ダメ男が自己愛に満ちた自己反省を交えつつ、己の…
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恋愛は「ビフテキ」と思って味わい、楽しめ
小説家にしてギタリスト、名作「楢山節考」で知られる深沢七郎はいわゆるインテリ作家ではないが、その型にはまらない音楽性豊かな小説は、今なお第一線の小説家にも評価が高い。しかし型破りなのは小説だけではな…
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夢中になるものがあれば人生を粗末にはしない
内田百閒は、夏目漱石の門下生で、「名文」の作家として知られ、「百閒が好き」と言えば通には「おっ」と一目置かれる。その独特のユーモアを愛する根強いファンは多い。その百閒の、小鳥をはじめとする小動物に関…
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上から目線でいると見えない真実がある
大岡昇平といえば戦争文学が有名だが、推理作家協会賞を受賞するなど、実は多くの推理小説・裁判小説も書いている。 特にその裁判シーンのリアリティーは、小説が大学の法学のテキストに用いられるほど評…
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「特別に」と特権意識をくすぐられたらご用心
今年から中学1年の英語の一部の教科書に「注文の多い料理店」が採用されている。その影響か、賢治の童話の英訳が日英対訳で出た。平易な英語で、付属のCDも聞き取りやすく、語学学習にはもってこいだが、意外な…
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絶対正しいと思う時ほど“都合のいいもの”しか見ていない
昨年は谷崎潤一郎だけでなく、江戸川乱歩の没後50年でもあった。純文学の大谷崎に対して、大乱歩と呼ばれたように、まさに探偵小説(推理小説)界の文豪だ。推理小説といっても、ただの謎解きゲームに終わらず、…
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自分しか知らない“相手の魅力”を思い出せば縁はつながる
昨年は文豪・谷崎潤一郎の没後50年、そして今年は生誕130年だ。2年続けてのメモリアルイヤーに、30年ぶりの新全集が昨年から順次刊行されている。 文豪といっても、谷崎の作品には漱石のような深…