「講談」ブーム再来の舞台裏
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講談界の第一人者・一龍斎貞水師匠が言ってくださった言葉
最終回は松鯉師匠の近況、これからの講談について語ってもらおう。 松鯉師匠は20年前から俳句を始め、俳人としての顔も持っている。 「落語芸術協会の『駄句だく会』に入れてもらったのが始めた…
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俳優を10年やって講談の世界に
松鯉師匠が講談の世界を志した頃、人気は正直なところ、下火だった。低迷している中で生涯の仕事と思って飛び込んだのはどういう経緯だったのか。 「前橋の高校を卒業して役者に憧れ、上京して10年間は俳…
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「だれ場」をどう演じるかが講談師の腕の見せどころ
何事にも展開、流れがあるように講談も展開や流れがある。演者にとっては展開の中で中だるみする「だれ場」をどう演じるかが、観客に楽しんでもらうポイントだ。松鯉師匠はこう語る。 「よくビジネス書で引…
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「天保水滸伝 笹川の花会」は大好きな一席
軍記、怪談、世話物……今さらそんな昔の話を聞いて何が面白いのか。そんなふうに思う人も中にはいるはずだ。松鯉師匠に改めて講談の魅力、聞きどころを、あまたある中から紹介してもらった。 「講談には『…
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実力はたまた人気?「寄席のトリ」はどうやって決まるのか
講談や落語の出演者はどうやって決められるのだろうか。 「寄席の顔付け(番組)は席亭の意思が第一です。席亭とは寄席の経営者のことです。以前はトリに選ばれた人に顔付けをする権利がありました。その代…
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講談専門だった本牧亭が果たした役割
講談を聞く、見るにはどこに出掛けるか。 「東京は上野・鈴本演芸場、新宿・末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、国立演芸場、それから永谷グループのお江戸日本橋亭、お江戸上野広小路亭、お江戸両国亭が…
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史実を例にしたビジネス講談が大ウケ
前回からの続き。ビジネス講談とは実際はどんなものか。 「建設業界からは『安全講談』をやって欲しいと頼まれて創作しました。また、『QC(品質管理)講談』もやった。あちこちから頼まれて全国を回りま…
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ビジネス講談を開発 サラリーマンの定年後に焦点をあてた
古典が王道の講談の中で、古典とは真逆で、一時もてはやされたのが松鯉師匠が開発したビジネス講談。サラリーマンにはちょっと気になる。 「昭和50年代の半ばぐらいですかね。私と落語家が三菱電機の労働…
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人気のある源平盛衰記「扇の的」はどのように楽しむ?
講談のルーツとなった「軍談」を寄席ではどう楽しめばいいのか。 「軍談は『太平記』のほかに『源平盛衰記』などが語り継がれていますが、中でも人気があるのは『扇の的』ですね。私の十八番です(笑い)」…
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「講釈師、見てきたような嘘をつき」の意味とは?
前回は人気の怪談を取り上げたが、語られている講談はどれくらいあるのか。実は江戸時代から伝わる講談は4500話以上もある。 「講談の原点は何かというと軍談です。戦国時代の終わりに平氏と源氏の『源…
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怪談の基礎知識<下>客席を盛り上げる幽霊もいる!
松鯉師匠は速記本から「番町皿屋敷」を起こした。江戸時代、旗本に仕えていた女中のお菊。主の家宝である10枚揃いの皿がいくら数えても9枚しかない。紛失の濡れ衣を着せられたお菊は斬殺され、古井戸に投げ込ま…
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怪談の基礎知識<上>「夏はお化けでメシを食い」
講談の世界では「冬は義士、夏はお化けでメシを食い」という。松鯉師匠も冬は赤穂義士伝、夏は怪談でトリをとることが多い。 今回は怪談の話を。寄席でおどろおどろしい怪談を聞くと、物語の怖さや登場人…
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今の講談界を支えているのは女性 その数は男性の倍だ
古典芸能はいくつかの流派などに分かれているのが普通だが、講談はどうなっているのか。 「講談には2つの団体があります。私の師匠2代目神田山陽がつくった日本講談協会と、講談協会です。私が神田一門の…
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必需品の張り扇は手作り 大切に使っても2カ月でダメになる
今回は目先を変えて、講談と落語の高座スタイルの素朴な違いを解説していただこう。落語で用意されるのは座布団一枚だが、講談では釈台と呼ばれる台と張り扇が必需品。講談の七五調の名調子はこの2つがなければ生…
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立川談志は「講談の時代がくる」と予言した
講談は落語のように一般に広まらない――。講談受難の時代、神田松鯉師匠は落語界、いや芸能界の寵児でもあった立川談志師匠に悩みを打ち明けたことがある。談志師匠は昭和11年生まれ、6歳上の大先輩でもある。…
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近ごろは落語家が「講談を教えてほしい」と稽古に来ます
寄席に行けば落語も講談も楽しめるが、落語と講談はどう異なるのだろう。改めて松鯉師匠に聞いてみた。 「落語は噺家というように“話す芸”、講談は物語を“読む芸”です。講談は耳で聴く物語なんです。ど…
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講談を世に広めた“ヒゲの一鶴”こと田辺一鶴の斬新さ
長い口ひげがトレードマークで「ヒゲの一鶴」として親しまれた、講談師の田辺一鶴。昭和39(1964)年に講談「東京オリンピック」で評判になり、それまでとは異なる斬新さ、派手なパフォーマンスで時の人だっ…
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日本一切符がとれない講談師 6代目神田伯山の人気を紐解く
令和の伝統芸能の人気の中心は間違いなく講談だ。牽引しているのは今年2月、6代目を襲名した神田伯山(松之丞)の存在。講談人気の秘密や中高年が気楽に講談を楽しむ方法について伯山の師匠、3代目神田松鯉さん…