講談界の第一人者・一龍斎貞水師匠が言ってくださった言葉
最終回は松鯉師匠の近況、これからの講談について語ってもらおう。
松鯉師匠は20年前から俳句を始め、俳人としての顔も持っている。
「落語芸術協会の『駄句だく会』に入れてもらったのが始めたきっかけです。17年前には俳人の大串章さん主宰の『百鳥』に入れていただき、俳句雑誌『百鳥』に毎月7句投句しています。ほかに毎月の句会で5句作ります。勉強になるし、講談には俳句がよく出てきますからね。自分の句を枕の話の中に入れるという楽しみもあります」
俳句はブームになっているので、師匠の2句を紹介しよう。
〈初席や いの一番の下足札〉
〈補聴器をはずし 朧に浸りけり〉
果たしてどんな情景を思い浮かべるだろうか。
コロナ禍だが、今年は神田一門にとっては6代目神田伯山の襲名など飛躍の一年になった。
「何より弟子たちが頼もしくなってきました。自らの意思で私がやっている連続ものに積極的に取り組んでくれて、感心すると同時にうれしいですね。最近は若い人が集まって『連続の会』をやっています。講談の基本や本来の形に戻っているのを感じます」