著者のコラム一覧
神田松鯉講談師

昭和17年生まれ。群馬県出身。新劇・松竹歌舞伎などの俳優を経て、昭和45年2代目神田山陽に入門。昭和52年真打ち昇進。平成4年3代目神田松鯉を襲名。令和元年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。

ビジネス講談を開発 サラリーマンの定年後に焦点をあてた

公開日: 更新日:

 古典が王道の講談の中で、古典とは真逆で、一時もてはやされたのが松鯉師匠が開発したビジネス講談。サラリーマンにはちょっと気になる。

昭和50年代の半ばぐらいですかね。私と落語家が三菱電機の労働組合の慰労会の余興に呼ばれて講談と落語をやることになりまして、その後の飲み会で定年問題が話題になったんです。定年を迎えた社員がその後、気が抜けちゃって、人生に張り合いがなくなり、鬱々としてる人が多いと嘆いていました」

 当時、社会問題になっていた定年後のサラリーマン人生。三菱電機は労使が一緒になってセカンドライフについて取り組んでいたという。

「定年問題は講談や落語になりませんかって聞かれまして。同行した落語家が『落語は無理だね』と答えたんです。でも、私は『講談ならできます』って言ったんですよ。そうしたらその後、三菱電機の労組からどーんと資料が届いた。大組織ですから社員の定年後の生活についてたくさん事例があるんですね。自殺したり離婚したり。悲劇的な定年後を迎える人が多かったんです。それで私が『惑いからの出発』という講談を作りました。定年以後に人生に惑いが出てくる。命がけで一生懸命働いて高度経済成長を成し遂げた人たちが定年後に、それまで誰も見たことのない抜け殻のような父ちゃんになる……。よりどころがなくなるんですよ。その惑いから抜け出し、新しい人生を出発させようという意味を込めて作りました。定年になってからでは遅いんですね。40代から定年の準備をしておくことをテーマにしました」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  2. 2

    大山悠輔逃し赤っ恥の巨人にOB評論家《良かった》 FA争奪戦まず1敗も…フラれたからこその大幸運

  3. 3

    悠仁さまの進学先に最適なのは東大ではなくやっぱり筑波大!キャンパス内の学生宿舎は安全性も高め

  4. 4

    過去最低視聴率は免れそうだが…NHK大河「光る君へ」はどこが失敗だったのか?

  5. 5

    八村塁が突然の監督&バスケ協会批判「爆弾発言」の真意…ホーバスHCとは以前から不仲説も

  1. 6

    《次の朝ドラの方が楽しみ》朝ドラ「あんぱん」の豪華キャストで「おむすび」ますます苦境に…

  2. 7

    国民民主党・玉木代表まだまだ続く女難…連合・芳野友子会長にもケジメを迫られる

  3. 8

    「人は40%の力しか出していない」米軍特殊部隊“伝説の男”が説く人間のリミッターの外し方

  4. 9

    瀬戸大也は“ビョーキ”衰えず…不倫夫をかばい続けた馬淵優佳もとうとう離婚を決意

  5. 10

    迫るマイナ保険証切り替え…政府広報ゴリ押し大失敗であふれる不安、後を絶たない大混乱