今の講談界を支えているのは女性 その数は男性の倍だ
古典芸能はいくつかの流派などに分かれているのが普通だが、講談はどうなっているのか。
「講談には2つの団体があります。私の師匠2代目神田山陽がつくった日本講談協会と、講談協会です。私が神田一門の総領で弟妹弟子は両方の団体にいますが、みんな師匠山陽の弟子です。日本講談協会の会長は私の妹弟子の神田紅で、講談協会の会長は一龍斎貞水先生です。81歳の貞水先生は人間国宝で、一番古い現役の講釈師です」
ちなみに、松鯉師匠は日本講談協会の名誉会長を務める。
講談協会には一龍斎、宝井、田辺、神田、桃川という江戸時代から続く派がある。
「例えば6代目一龍斎貞山先生は『赤穂義士』で売れたので、『義士伝は一龍斎のお家芸だ』なんて言います。すごく売れた人がいると○○派のお家芸と言う傾向があるんですね。初代の神田伯山は『徳川天一坊』で蔵を建てたという川柳ができたほどで、神田派のお家芸といわれるゆえんです。宝井派は4代目の宝井馬琴先生が軍談で売った。田辺派はあのヒゲの一鶴先生が弟子を多く残しました」