後悔しない認知症
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大事なのは子供や周囲の「幸せに生きてほしい」という気持ち
「とにかく、いろいろなことが面倒くさくなりましたね」 半年ほど前に軽度のアルツハイマー型認知症と診断された知人が言う。80歳。診断を受け入れ、症状の進行を抑える効果が認められているアリセプトを…
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若いころから面倒見が良ければ老いてからも快適に過ごせる
「ボケが始まったら、なんだかみんながやさしくしてくれるんですよ」 84歳になる知人がうれしそうにいう。同い年の奥さんと2人暮らしをしているのだが、自分が認知症と診断されたことを知った息子夫婦が…
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「変だ」と思ったら言ってくれる「チェッカー」を持とう!
「私はYさんから『チェッカー』に指名されました」 なんのことかと思ったが、説明を受けて、すばらしいことだと感心した。 知人がいう。知人と85歳になるそのY氏は、編集者と著者の関係。つき…
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「こんなになってしまって…」と嘆く親の鬱にどう接するか
「ボケて、こんなになってしまって」 認知症を発症した親はしばしばこんな言葉を口にする。自分に対する嘆きともいえる。自分が認知症であることさえ忘れてしまう。そこまで症状が進行すれば、こうした嘆き…
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過去に親しんだテキストをもう一度、引っ張り出してみよう
認知症予防のためには「脳を悩ますこと」が有効であることは、このコラムでたびたび述べてきた。それも付け焼き刃的な脳トレではなく、これまでの人生に根付いた知的好奇心の領域で「脳を悩ます」ことが重要だ。 …
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若い頃から怒りっぽい人、威張る人ほど認知症の進行が速い
私はどういう局面においても、人に対して感情に任せて怒ったり、威張ったりすることがないようにと心掛けている。もともと温和で、偉そうな言動をしない人間だったわけではない。若いころに、そうした態度は人間関…
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注目されている「認知症カフェ」の有効活用術
台風一過。久々に晴れた日の朝、自宅近所のコーヒーショップでほほ笑ましいシーンに遭遇した。3人ずつ、おそらく、ふたつの家族と思われる6人が穏やかな表情で談笑している。その2家族は親しい間柄なのだろう。…
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「ボケたね」と言われ「そうだね」と笑い合える環境作りが大切
「いやあ、参りました。よかれと思ったんですが、逆ギレされてしまって……」 私が教えている大学の学生が困った顔で話す。途中から電車に乗ってきた高齢者に席を譲ろうとしたところ「余計なお世話だ」と相…
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認知症の高齢者は脳トレよりも楽しく生きることが最も大切
9月20日付の朝日新聞朝刊の第1面を見て時代を強く感じた。注目したのは記事ではない。広告である。下3段のスペースのすべてが認知症に関する書籍の広告だったのである。新聞社が広告企画として「認知症特集」…
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実の息子よりも嫁の来訪を喜ぶ親も 多く接することが大事
「機嫌よく生きてもらう」 何度も述べているが、これこそが、子どもが認知症の親に接するとき何よりも心しなければならないことだ。いかに認知症が進行しても「機嫌よさの種」は全部なくなってしまうわけで…
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「合いの手」を上手に入れて言葉のラリーを続けること
「その入居者の女性は、一日も欠かさず私に冷たい缶ジュースをくれるんです」 介護施設で働く女性Kさんが言う。入居者のほとんどが認知症と診断された高齢者だ。「昨日もいただきましたよ」と固辞するのだ…
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介護認定の際に「よそ行きの自分」になってしまう親がいる
前回、介護保険の仕組みを正しく理解し、制度がフォローするサービスを利用することで、認知症の高齢者が機嫌よく暮らし、その子どもや家族の負担が軽減されるということを書いた。その前提となるのが認知症の親の…
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高島忠夫さんの家族が知らずに悔やんだ介護サービス
「なぜもっと優しくしてあげなかったのか」 認知症の親を見送った子どものほとんどがそんな思いに駆られるようだ。施設に親を入居させた子どもでも、最期まで在宅介護をした子どもでも、多かれ少なかれそん…
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「できることがやや減るだけ」同じ目線、尊厳で接すること
知人の話を紹介しよう。その知人にとっては仕事上の師匠ともいうべき人物が、つい最近アルツハイマー型認知症と診断されたという。知人の師匠は長く出版社で編集者として働いた後、フリーエディターとして多くのベ…
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認知症在宅介護 子供の肉体的精神的負担を喜ぶ親はいない
「住み慣れた家で最期まで親の面倒を見たい」 子どもの多くはそう考えるかもしれない。だが、認知症を発症し徐々にその症状が進行すると、在宅介護を続ける子どもの思いも揺らぎはじめる。物忘れがひどくな…
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新たな出会いがあるデイサービスは脳を使う「新天地」
前回、92歳で1人暮らしをしている軽度の認知症女性の話を紹介した。子どもの説得でそれまで拒んでいたデイサービスへの参加やヘルパーの介護を受け入れたところ、その快適さを知り、いまではそれを楽しみにする…
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症状を遅らせるにはスキンシップも極めて大事になる
このコラムでは、認知症の進行を遅らせるためにコミュニケーションの機会を増やし、それをきっかけにして新しい情報を入力したり、発語やメモなどによって出力することが大切であることをたびたび述べてきた。 …
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できる・できないを繰り返す「まだら認知症」の対応方法
まったく同じことなのにできるときとできないときがある――認知症の親に対して子どもがそんな戸惑いを抱くことは多い。たとえば午前中にはひとりですんなり着替えができたのに、午後になるとまったくできなくなっ…
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いい状態と悪い状態を繰り返すレビー小体型認知症の接し方
子どもにとって大切なことは、「親が本当に認知症なのか」「どんなタイプの認知症なのか」「正しい対応法は何なのか」をきちんと理解することだ。そのためには、何度も述べるが臨床経験豊富な専門医の診断を受けさ…
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「ウチはボケない家系だから大丈夫」に科学的根拠はない
父親は90歳までボケずに死んだから大丈夫だ。母親は75歳でボケたから心配だ。そんなことを口にする人がいる。だが、極めてレアなケースを除いて、認知症発症が家族性によるものであるという医学的根拠はない。…