著者のコラム一覧
和田秀樹精神科医

1960年6月、大阪府出身。85年に東京大学医学部を卒業。精神科医。東大病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数。「80歳の壁」(幻冬舎、税込み990円)は現在、50万部のベストセラーに。最新刊「70歳の正解」(同)も好評発売中。

若い頃から怒りっぽい人、威張る人ほど認知症の進行が速い

公開日: 更新日:

 私はどういう局面においても、人に対して感情に任せて怒ったり、威張ったりすることがないようにと心掛けている。もともと温和で、偉そうな言動をしない人間だったわけではない。若いころに、そうした態度は人間関係を損ない、自分にさまざまなストレスを生じさせることに気づいたのだ。怒る、威張るという行為は、ほとんどの場合、相手の論理的な思考をシャットアウトすることにつながる。そうしたスタンスは直面する問題の解決を図ったり生産的なコミュニケーションを行ったりするためには、百害あって一利なしだ。だから、人に対してはできるだけ穏やかに、論理的なコミュニケーションで接するように心掛けている。

 ところが、世の中には湧き上がる感情に任せて怒る人、威張る人が驚くほど多い。国会中継などを見ていると、論理的整合性に基づいた生産的な議論はほとんどなく、感情的な怒りのぶつけ合いや権力者の不遜な態度ばかりが目について、呆れてしまう。

 そんな私が、長年、老年精神医学に携わってきて、認知症の進行について確信していることがある。それは、いったん認知症になると、若いころから怒りっぽい人、威張る人は認知症の進行が速いということである。当然のことだが、怒りっぽい人、威張る人は、人がだんだんと寄り付かなくなる。他人が寄り付かなくなれば、コミュニケーションの機会は減る。他人の話を聞いて、自分の意見を言う機会も減る。つまり、他人の話=情報の入力、自分の発言=情報の出力といった脳を悩ます機会が減るわけだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    べた褒めしたベッツが知らない、佐々木朗希"裏の顔”…自己中ぶりにロッテの先輩右腕がブチ切れの過去!

  2. 2

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 3

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  4. 4

    巨人・田中将大“魔改造”は道険しく…他球団スコアラー「明らかに出力不足」「ローテ入りのイメージなし」

  5. 5

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  1. 6

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  2. 7

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…

  3. 8

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  4. 9

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  5. 10

    僕に激昂した闘将・星野監督はトレーナー室のドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきて…