「親鸞「四つの謎」を解く」梅原猛著
親鸞の人生の謎に迫る歴史ノンフィクション。
その謎とは、貴族階級に生まれ、高い身分を保障されていた親鸞が、なぜわずか9歳で出家したのかという「出家の謎」に始まる。続いて、20年後、比叡山での出世の道を捨て、無位無官のこじき坊主同然だった法然の門下に「入門した謎」。さらに親鸞が仏教の戒律を破って結婚したのはなぜか。
その謎の背後にある正式な妻として認められている恵信尼の前に時の権力者・九条兼実の娘・玉日と結婚していたという伝承の真偽、そして自らを大悪人と同一視するほど罪悪感を自覚していたことに対する疑問の4点。その人生と思想を読み解きながら、真相に迫る。
(新潮社 2200円)