土曜あらかると
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「聖徳太子 世間は虚仮にして」三田誠広著
仏師(ほとけつくりのたくみ)を志す鞍作鳥(くらつくりのとり)は、仏教を学ぶために上宮王(かみつみやのみこ=厩戸皇子、のちの聖徳太子)の舎人となる。上宮王は、12歳にして、誰よりも経典に通じていた。あ…
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「会津物語」赤坂憲雄+会津学研究会編著
会津地方に伝わる不思議な話を古老たちから採集して編んだ物語集。 角田ヤスさん(大正4年生まれ)は、祖母から曽祖母のオウチが山姥をもてなしていたという話をよく聞いたという。昔、家が神社の分社の…
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「食堂のおばちゃん」山口恵以子著
10年前、夫を失った二三は、勤めていたデパートを辞め、姑の一子とともに、亡夫が佃で営んでいた洋食屋を、昼は定食、夜は居酒屋となる食堂に変えて引き継いだ。その「はじめ食堂」に3カ月ほど前から全身を高級…
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「日本一サービスにうるさい街で、古すぎるキャバレーがなぜ愛され続けるのか」山崎征一郎著
老舗キャバレー、銀座「白ばら」の元店長がつづったエッセー集。 1931年に創業した同店の常連客には作家や俳優も名を連ね、二・二六事件の青年将校らも事件前日まで通ったという。在籍ホステスは20…
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「繭と絆 富岡製糸場ものがたり」植松三十里著
新設の製糸工場の場長に就任した尾高惇忠は、富岡に単身赴任して、普請から立ち会っていた。ある日、自宅に戻った惇忠は、14歳の長女・勇に工女となるよう命じる。勇は、以前、志願したときは認めてくれなかった…
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「ダメなやつほどダメじゃない」萩本欽一著
1941年生まれの萩本欽一は、恵まれた子供時代を過ごしていたが、戦後、父親の会社が倒産し、一家は離散。金を稼いで母親孝行をするため、喜劇役者になろうと決めた氏は、中学を卒業して「デン助」こと大宮敏充…
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「ディストピアとユートピア」山口謠司著
著者によると、漢詩は「ディストピア(=希望のない世界)」である「現実」を、「ユートピア」に変えるために必要な豊かな精神を育ててくれるという。漢詩を鑑賞しながら、ユートピアはどこにあるのか、人間はどこ…
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「三重スパイ イスラム過激派を監視した男」小倉孝保著
アルジェリア・イギリス・フランス3カ国の諜報機関を渡り歩いた元スパイ、レダ・ハセインの数奇な半生を描くノンフィクション。 アルジェリアの裕福な家庭に生まれたハセインは、ジャーナリストとして政…
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私と、妻と、妻の犬 杉山隆男著
長年の別居生活を終わらせ、再び妻と暮らし始めた大学教授の「私」だが、夫婦の会話はぎこちない。半年前に飼い始めたラブラドルのメイだけが、唯一の話題だった。 10年前、カルチャースクールの講師を…
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「正楽三代寄席紙切り百年」新倉典生著
余芸だった紙切りを寄席芸に昇華させ、代々伝える大名跡・林家正楽3代の足跡をたどり、その芸と人間像に迫る。 初代は、大正5年、落語家を志し20歳で入門。2年後、普段は見せない余興芸を客に披露す…
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「ランキングでわかるヨーロッパ各国気質」片野優・須貝典子著
各世界ランキングを読み解きながら、ヨーロッパ27カ国の国民性の違いを明らかにするお国柄本。 例えば、デフォルト寸前のギリシャ。経済状態は最悪だが、喫煙率・肥満児率・年間セックス回数は第1位。…
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「無銭横町」西村賢太著
20歳を目前にした貫多は、3カ月過ごした横浜を引き払い、要町の安アパートに引っ越す。これまでの怠惰な生活を改めようと、心機一転を期して横浜に行ったのだが、失恋と失業で決意はもろくも砕け、東京に舞い戻…
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「銀幕の村」西出真一郎著
心に残る映画の舞台となったフランスの田舎町を訪ね歩く紀行エッセー。 病に侵された若い司祭が、赴任先の小さな村で村人たちの魂の救済に奔走する姿を描いた「田舎司祭の日記」(1950年)。その舞台…
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「叛徒」下村敦史著
新宿警察署の中国語担当の通訳捜査官・七崎は、2年前、同じ仕事をしていた義父が取り調べ中に行った不正を見過ごすことができず告発する。法廷で違法行為を認めた義父は自殺。以来、同僚らの冷たい視線を浴び、妻…
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「東北朝市紀行」池田進一著
朝市に魅せられ、20年間撮影を続けてきた著者によるフォトエッセー。東北各地の朝市で出会ったおばさんたちとのおしゃべりを土地の言葉そのままに再現し、写真とともに紹介する。 青豆を粉にして水で練…
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「探偵・竹花 帰り来ぬ青春」藤田宜永著
探偵の竹花は、若いときにパリで知り合った旧友の作家、国分の娘・麗子の依頼で、姿を消した国分の行方を捜す。数日後、竹花は長野県の別荘で首を吊っていた国分の遺体を見つける。警察は自殺と断定するが、麗子は…
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「弁護士ドットコム」元榮太一郎・上阪徹著
著者の元榮氏は、昨年末に上場した企業「弁護士ドットコム」の代表。一流法律事務所所属のエリート弁護士だった氏は、トラブルに巻き込まれて困っている人や、誰にも言えない悩みを抱えている人が弁護士に気軽に相…
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「今井舞がゆく!気になる『あそこ』見聞録」今井舞著
特殊な人々が集まる聖域。存在は知っているが、あえて訪ねることはなかったそんなスポットに出かけてみる突撃ルポ。 最初に選んだのは「アムウェイ・プラザ東京」。「最もメジャーな○○○講」のイメージ…
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「贅沢のススメ」本城雅人著
会社を売却して利ザヤを稼ぐ投資会社の社長・藤浪は、高級品を扱う会社にしか興味がない。そんな藤浪が、新たに目をつけたのは人気シェフ石嶋が経営するイタリアンレストランだった。 早速、店に乗り込ん…
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「日本人の値段」谷崎光著
中国企業で働く日本人技術者たちを取材したルポルタージュ。 中国売り上げ7位の自動車メーカーで働く田中氏(仮名)は、日本のハイブリッド車基幹部品の元開発チーフ。外資に買収された職場環境に耐えら…