「納豆の起源」横山智著
日本の国民食である納豆。その起源には諸説あり、滋賀県では聖徳太子が馬に与える煮豆の残りをわらに包んでおいたところ、やがて糸を引いて非常においしくなったという伝説が残されている。
納豆という語が表れる日本最古の文献は、平安時代後期に藤原明衡によって書かれた「新猿楽記」で、登場人物の好物として描かれているという。このように、古くから日本人の身近にあった納豆だが、実は東南アジアの大陸部からヒマラヤにかけての広い地域にも、大豆を発酵させて作る納豆によく似た食品が分布している。
中国の黄河下流付近が起源とされている大豆が、どのように旅をしてアジア各地で発酵食品となったのか。その作り方や食べ方を紹介しながら、納豆の起源を探っていく。
(NHK出版 1500円+税)