「過剰診断」H・ギルバート・ウェルチ他著、北澤京子訳
病気に打ち勝つためには早期診断による治療が大切。しかし、進化した検査方法が見つける“異常”は、もしかしたら永久に病気にはならない程度のものかもしれない。そして、“なるかもしれない”可能性にかけて治療を行うことで、思わぬ弊害が表れることもある。
本書では、医療先進国であるアメリカの医師が、豊富なエピソードとともに早期診断に伴うリスクを警告している。例えば、前立腺がん。健康管理のためにと毎年検査を受けていたある医師は、その年PSA(前立腺特異抗原)がごくわずかに上昇したことを受け、積極的治療として手術を選択。しかしこれがきっかけで、インポテンスになってしまった。
“病気の疑い”にどう対処すべきか考えさせられる気になる本だ。
(筑摩書房 1700円+税)