「半分生きて、半分死んでいる」養老孟司著

公開日: 更新日:

 ある日、学生から「もう死んだと思ってました」と話しかけられたという著者。本人はまだ元気なつもりでも、実情ではすでに死亡済み――そう思えば気楽なもので先行き世界がどうなろうと知ったことではないという氏が、気ままに世相を斬る時評エッセー。

 ある本で、預金に利息がつかないのは実体経済に発展の余地がなくなったからだと知り大いに納得。要するに経済自体が煮詰まったからだ。見渡せば、首相が憲法を改正したがっているのも安全保障をめぐる議論が煮詰まったからで、原発問題も煮詰まったまま議論が動かない。人口減少も高齢化も、世の中が煮詰まったことが分かっているからヒトが減るのだろうと推測する。

 皮肉とユーモアを利かせながら現代社会を見つめる。

(PHP研究所 860円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…