家康は健康オタクがゆえに命を落とした!?
河合敦著「晩節の研究」(幻冬舎 880円+税)では、誰もが知る偉人たちの華やかな時代の“その後”や意外な死に際を紹介している。
徳川家康は天ぷらの食い過ぎによる食中毒で死んだといわれている。さぞかしグルメで豪快かと思いきや、家康は若い頃から健康オタクで、ぜいたくな食べ物を食べずに粗食を通し、薬学に興味を持ち自分で「万病丹」などと名付けた薬を調合して常用していたという。しかし1616年1月、京都ではやっていた鯛の天ぷらを初めて食べたところ抜群にうまく、食べ過ぎて腹痛を起こしてしまった。しかし、それから数カ月は生きており、記録に残る症状からして胃がんだったと推測されている。
家康は寄生虫にやられていると自己診断し、自分で調合した薬ばかり飲み、侍医の処方する薬は飲まなかった。当然のごとく病は悪化の一途をたどり、衰弱した体はついに自作の薬も受けつけなくなったという。
晩年になっても一晩に5回は余裕の性豪だったのは、スズメやカエルなど小動物を詠んだ句が多く穏やかなイメージの小林一茶だ。52歳で初めて妻をめとり、しかも相手は28歳。結婚後の一茶の日記には、日々「三交」「五交合」などの記述が登場する。現代で言えば70歳を過ぎたに等しい年齢なのに、いくら若い妻相手とはいえ凄まじい精力だ。
その後、妻に先立たれたり離婚するたびに若い女性と再婚を果たし、一茶が65歳で生涯を閉じたとき、最後の妻は妊娠中だったというからあっぱれである。
老人になってから計画殺人を実行した黄門様や、実は死んでいなかったという伝説を持つ西郷隆盛ら、偉人たちのイメージを覆す話が満載。自分の晩節を考える参考になるかも?