団塊世代は中古品購入やシェアリングを好まない
野村総合研究所では、1997年から3年ごとに全国の生活者1万人に対して生活価値観などについてのアンケート調査を行っている。野村総合研究所著「日本の消費者は何を考えているのか?」(東洋経済新報社 1800円)では、そのアンケートをもとに最新の消費者心理についてまとめている。
高度経済成長期およびバブル期を経験し、退職後は年金支給額も比較的多い団塊世代。消費の価値観として「中古品を買うことに抵抗がない」と回答した人の割合は39%で、全世代の中でもっとも低かった。
さらに、団塊及び1951~59年生まれのポスト団塊世代では、昨今話題になっているシェアリングサービスやサブスクリプションサービスなどを利用したいと考える人の割合が少ない。一方、SAKELIFEやAmazon定期お得便サービスなどに代表される、食料品や消耗品などの定期配送、あるいは定期購入で割引が適用されるなどのサービスについては、認知している人当たりの利用経験割合が非常に高いことが分かっている。
すでにシニア層であるこれらの世代では、自身の健康への不安が高まっており、いざというときに日用品を定期配送するサービスのニーズが高くなっている。ただし、新しいサービスの認知度はまだ高いとは言えず、情報収集はネットよりも雑誌や新聞の割合が高いため、認知度を高める工夫によって需要を掘り起こすことが可能であると本書は分析している。
「日本の国や国民を誇りに思う」という若い世代が増加している背景や、“つながり志向vsひとり志向”など二極化する日本人の消費行動についても解説する本書。マーケティング戦略に役立ちそうだ。