「今日もうまい酒を飲んだ」広小路尚祈著
バーを営む阿部はある夜、常連客の上原から最高の泡盛を教えて欲しいと尋ねられるが、即答できない。「うまい酒、最高の酒は人それぞれ」を信条にしていることもあるが、専門外の泡盛については知識もない。
聞くと、沖縄出身で今は東京に暮らす上原の祖父のカジマヤー(数えで97歳になったことを祝う沖縄の行事)の席で飲ませてあげたいのだという。
自分なりに探すことを上原に約束した阿部は、師匠の杉本に助けを求め、一本の泡盛と巡り合う。東京大学に保管されていた戦前の黒麹菌を使って造られたその「御酒(うさき)」に感動した阿部は、泡盛のことをもっと知るために沖縄へと向かう。
最高の泡盛を求めるバーマンを主人公にしたルポルタージュ小説。
(集英社 640円+税)