「血圧を最速で下げる」奥田昌子著
高血圧対策の生活習慣で大切なのが減塩。今や誰もが知っている常識だが、これまで30万人の患者を診てきた著者は、減塩をはじめとする高血圧対策が誤って認識されていることが多いと警告する。
実は、塩の摂取によって血圧が上がるかどうかは遺伝子で決まり、同量の塩を摂取しても誰もが高血圧になるとは限らない。塩で血圧が上がりやすいことを「食塩感受性が高い」というが、このような体質の人は日本人の20%程度で、食塩を多く摂取しても血圧が上がりにくい人はおよそ50%を占めている。そして近年、塩分過多ではなく肥満によって血圧が高くなる“食べ過ぎ高血圧”の人も増えているという。
つまり、むやみやたらと減塩しても、高血圧予防につながる日本人は半分以下ということ。ただし、これは予防の話であり、すでに高血圧と診断されている人は例外なく減塩をするべきだと著者。体内に塩分過多の状態が続くと血管壁に負担がかかるのも事実で、高血圧を悪化させかねないためだ。
高血圧の読者は、やっぱり減塩が必要なのかとがっかりするかもしれない。しかし本書では、賢く効率的な減塩の方法を紹介している。減塩というと味を薄くすることばかり考えがちだが、減塩の目的は体に入る塩の総量を減らすこと。ならば、腹八分目にするだけで味付けはそのままに塩分を20%カットすることにつながる。醤油やソースも直接かけるのではなく、小皿にとってつけるようにすれば使用量を大幅にカットできる。また旬の野菜を選ぶことで、塩を追い出すカリウムの効率的な摂取につながるという。
血圧を下げる早歩きや睡眠法なども解説。いま一度高血圧の基本をおさらいしてみては。
(幻冬舎 860円+税)