「世界の一流はなぜ歯に気をつかうのか」森下真紀著
多くの外国人が挙げる日本人の残念な点に、「口臭」が挙げられていることはご存じだろうか。実は日本は、先進国の中では圧倒的な歯科後進国であると、歯科医師である著者は言う。
キスやハグの習慣がない日本では、口臭マネジメントに気を使わずに日常を過ごす人が多い。しかし、外国人と接する場合はそうはいかない。在日外国人にアンケートを取ったところ、日本人の歯並びの悪さに言及する人は78%にも及び、「先進国で最低」「酷さに驚く」といった声も寄せられている。そして、歯並びの悪さから磨き残しも多くなり、口臭の原因にもなる歯周病を患っている人が、日本人の8割という恐ろしい結果を招いているのだ。
とくに欧米のエリートにとって、美しい歯は育ちの良さや自己管理能力の象徴と考えられている。つまり、歯のケアを十分に行っていない日本人は、育ちが悪く自己管理能力がないと捉えられかねないわけだ。
外国人にどう思われても関係ないという人もいるだろう。しかし、歯周病が全身の健康にも悪影響を及ぼすとしたらどうだろう。歯周病は歯肉など口内の組織に原因菌が感染することで起こるが、炎症反応によってつくられた炎症性物質は血流にのって全身に運ばれ、各臓器でも炎症反応を引き起こし続ける。結果、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞、認知症などあらゆる疾患のリスクを高めることになるのだ。
本書では、歯周病を悪化させる生活習慣から口臭の予防法まで徹底解説。歯磨き後のすすぎは最小限に、電子たばこは歯周病の痛みを悪化させるなど、歯にまつわる新常識も紹介している。
自分の歯と口臭について、改めて見直してみては。
(ダイヤモンド社 1600円+税)