「歯ヨガ」小島理恵著
口が開きにくい、無理に開こうとすると痛みを感じる、歯並びが悪くなってきた、舌や頬をよく噛んでしまう……。近頃このような口まわりの症状が気になる人は、「オーラルフレイル」の可能性があると本書は警告する。オーラルは「口の」、フレイルは「虚弱」を意味し、口腔周囲筋と呼ばれる口のまわりの筋肉が衰えることで、噛む・のみ込む・話すなどの機能が低下した状態を指している。
そこで歯科医師である著者が推奨するのが、口のまわりのマッサージや体操を組み合わせた「歯ヨガ」である。これは口腔周囲筋のバランスを整えて口腔筋機能の正常化に役立つもので、咀嚼や嚥下がスムーズになったり、滑舌や姿勢をよくすることにもつながるという。
まずは、軽く口を開けて下顎を前後左右にゆっくりと大きく動かしてみよう。どこか1カ所でも動かしにくい方向があれば、口腔周囲筋がこわばっている証拠だ。また、口を大きく縦に開けたとき、指が縦に2本半入るぐらいしか開かない場合も要注意である。
歯ヨガは、口を閉じて3秒間鼻で息を吸い続けながら頬をすぼめ、次に3秒間頬を膨らませる動作を5~10回繰り返すなど実に簡単。舌全体を上顎にくっつけ、音を鳴らしながら素早く離す動作を10回繰り返すのもいい。
顎と首の境にあり、舌の根元がくっついている舌骨を引き上げるヨガも紹介している。こちらも簡単なものばかりで、椅子に座っておへそをのぞき込みながら背中を丸め、次に背筋を伸ばして顎を天井に向ける動作を3回程度繰り返せばOKだ。
口腔機能の低下は低栄養や心身機能の低下につながり、健康寿命も左右する重大事項。口腔周囲筋の衰えに気づいたら、放置せずに早めの対処が必要だ。
(KADOKAWA 1300円+税)