「私たちは25歳で死んでしまう」砂川雨路著
人類の平均寿命が25歳になった時代の話である。平均値であるから、30歳まで生きる人もいれば、20歳で死んでしまう人もいる。事の起こりは500年前、隕石に付着していた未知の細菌のためにこの星の人口はそれから100年の間に半分以下になる。人類は未曽有の危機に争いをやめ、統一政府がつくられ、研究の結果、毒素に耐えられるようになる。その限界値が25歳なのである。
人口を増やすために結婚が奨励され、国の管理のもとに集団生活を送っている児童は、15歳で国が選んだ相手と結婚。子供を産むと住宅から食料まで、あらゆる局面で優遇される。そういう時代の話である。
中にはその毒素の影響を受けずに長生きする長命種もいて(彼らは国の要職に就く)、事態を複雑化しているのも興味深い。
本書はそういう時代に生きる6人の女性を描く連作で、国が選んだ相手と馴染めないヒロインもいれば、離婚したものの生活が苦しくて(優遇措置がなくなるので)元の亭主と再婚したいと願うヒロインもいたりする。中には、そういう国のシステムそのものに反発して、好きな相手と駆け落ち逃亡するカップルもいるからいろいろだ。そのさまざまなパターンを書き分ける構成がいい。
砂川雨路はライトノベルに分類される作品を書いている作家で、昨年上梓した「置き去りのふたり」が印象に残っていたが、今回はもっといい。 (小学館 748円)