「俳句が伝える 戦時下のロシア」馬場朝子編訳

公開日: 更新日:

「俳句が伝える 戦時下のロシア」馬場朝子編訳

「国境の列 避難の少女に サボテンの鉢」(ナタリア)。避難する少女が本や鉛筆、おもちゃでなく、トゲのあるサボテンの鉢植えを持ってきた。これは不服従の象徴である。子どもでさえも自分の意思を持っていることを表している。

「月の光 枕下に 大蒜(にんにく)ひと粒」(アレクセイ)。ニンニクは悪魔やコロナウイルスを追い払うと考えられている。小さな月の形をしていて、その対比が美しい。

「母は息子のもとへ ウクライナの地に 頭垂れ」(オレク)。ウクライナで死んだ兵士も少なくない。彼らの遺骨は母の元に送られたのだろうか。母親はウクライナの大地に頭を垂れるしかない。

 ソ連時代の1935年に「おくのほそ道」が翻訳されて、ソ連崩壊後には俳句ブームが起きた。戦時下にロシア語で作られた54の俳句と8人の作者へのインタビューを掲載。

(現代書館 2200円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 2

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  3. 3

    大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち

  4. 4

    “路チュー”に続き所属タレントの書籍予約トラブル…STARTO社福田淳社長は「自分ファースト」!?

  5. 5

    巨人・田中将大 戻らぬ球威に焦りと不安…他球団スコアラー、評論家は厳しい指摘

  1. 6

    平野紫耀から杉咲花に「翠ジンソーダ」キャラクターわずか1年でバトンタッチのナゾ…平野ファン大混乱

  2. 7

    プーチンだけが丸儲け…米国&ウクライナ会談決裂にニンマリのロシアが描く青写真と警戒心

  3. 8

    注目される日銀の出口政策…次は時価約74兆円のETF(上場投資信託)の出番だ

  4. 9

    大阪万博「歯抜け開幕」ますます現実味…海外パビリオン完成たった6カ国、当日券導入“助け舟”の皮肉

  5. 10

    自公維の「高校無償化」に慶応女子高の保護者が動揺? なぜだ?