<35>ドン・ファンと早貴被告の婚姻届提出には誰もが驚いた
「そうなんです。早貴さんとねぇ、入籍したんです。一緒に暮らすことになりました。よろしくお願い申し上げます」
「社長、年の差は55歳ですよ。あの加藤茶の記録を更新じゃないですか。日本一の年の差婚ですね」
「そうですか。グフグフ」
社長は笑っていた。
「社長、上機嫌だった」
電話を切って言うと、マコやんや他の従業員も声を上げて大笑いした。
「しかし、戸籍を変えるってそんなに簡単にすること? 親はどう思っているんだろう」
金庫番の佐山さんが首をかしげた。
「若い娘やから住所変更ぐらいの気持ちで婚姻届を出したんじゃないのか? ワシャ、信じられへんけどな」
私もマコやんの言葉にうなずいた。
「社長が望んでいるのならいいんじゃない。そうとしか言えないなぁ~」
「まあ、どうせ離婚になるやろうけど、社長の結婚したい病には恐れ入ったよ」
私もそう思った。最初はおもちゃを与えられた子供のように夢中になるだろうが、飽きるのは目に見えている。ただまさか、そのおもちゃが危険なものだとは、全く予想していなかった。(つづく)