<35>ドン・ファンと早貴被告の婚姻届提出には誰もが驚いた
2018年2月8日、私はアプリコの番頭格マコやんが運転するトラックで田辺を目指していた。
「社長は元気?」
「最近顔を合わしてないんや。ワシも勝浦や串本のスナックを回っていたから時間が合わなくてなぁ」
「早貴ちゃんとはうまくいっているの?」
「1月の初めは慌てていたけど、最近はそんな話も出ないって」
「ほんじゃあ、うまくいっているってこと?」
「そんなの、どうでもええわ」
ハンドルを握りながら、マコやんは大笑いをした。
夕方前にアプリコに到着し、トラックの荷物を倉庫に搬入するのを手伝っている時だった。
「大変やで~」
マコやんが大きな声を上げながら小走りでアプリコの事務所から戻ってきた。
「どうしたんですか?」
「あのな、社長が早貴ちゃんと婚姻届を市役所に出したんだってよ」