食事に30分以上で要注意 「食べる機能」の衰えはこう防ぐ
「タイミング」は、「息を吸う→唾液をのみ込む→息を吐く」という健常者なら当たり前にできている動作を一つ一つ意識してやり、体に覚えこませる。
「食事の指導では、タイミングが合わずにのみ込めない人は、食事にとろみをつける。チャーハンのようなパラパラした食事がのみ込めない人はあんかけにするなど、『どうすれば食べられるか』を考えた個々に応じた提案を具体的にします」
■「年を取って食欲がない」も危険
嚥下機能が20%しかなければ、その20%をフルに生かして口から食べる。100%の力は取り戻せなくても、口から食べることで食事の楽しみを味わえる。それが大事だと、菊谷院長は言う。
一方、嚥下機能はまだ大丈夫かもしれないが、今後どんどん落ちていく可能性があるのが、「年を取って食べなくなった人」だ。
70代後半のBさんは妻を亡くして以降、近所で総菜を買うなどしているが、一人の食事はわびしく面倒。動かないので腹もすかない。自然と食事量が減り、妻を亡くしてから5キロ以上痩せた。
「これでは栄養状態が落ち、嚥下機能の低下を招きます」
無理に食べさせるわけにはいかないが、元気でいてもらいたければ、何らかの手を講じる必要がある。