食事に30分以上で要注意 「食べる機能」の衰えはこう防ぐ
「一生懸命食べているのに食事時間が30分以上かかる」――。もし老親に該当するなら、「食べる機能」が落ちてきている疑いがある。
■嚥下機能低下ならリハビリ必要
80代半ばのAさんは数年前から軽い認知症だ。食事にかかる時間がどんどん長くなっている。かかりつけ医からは、「飲食物が誤って気道に入り込んで肺炎を起こすリスクが高いから」と、体の外からチューブで胃に直接流動食を送り込む胃ろう造設を勧められている。
Aさんのケースは珍しいものではない。「年を取っているから仕方がない」と周囲も受け止めているかもしれない。しかし、まずは「食べる機能」を取り戻すためのリハビリが必要だと、日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック・菊谷武院長が言う。
「高齢になると筋肉や身体能力が低下するのと同様に、嚥下機能も低下します。すると栄養状態が悪くなり、免疫力も落ちます。使わなければ嚥下機能は一層落ち、栄養状態がさらに悪くなる。悪循環に陥るのです」
急に脳梗塞などの脳血管障害に襲われて後遺症があれば、リハビリ病院に入院し、専門家の指導の下で機能を取り戻す訓練が行われる。嚥下機能に関しても行われる。